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番外編 きみが癒し生きる希望
「こんなことをしている暇があるなら、スカルが取り逃がした獲物、さっさと捕まえてサツに突き出せ」
「ヘタに同情するからだ。だからまんまと逃げられたんだろう」
遥香の髪を大きくてゴツゴツした手が遠慮がちに撫でてくれた。
「情けなんぞ無用だ」
「お前に言われなくても、姐さんに危害を加えようとする輩はこの俺が許さない。指一本触れさせない」
互いに牽制し合う二人を横目に、橘さんは彼と何やら真剣な顔付きで話し込んでいた。
(あの橘さん・・・・・)
声を掛けるタイミングがなかなか掴めなくて、おっかなびっくり顔色を伺いながら、ツンツンとシャツの裾を引っ張った。
『どうした?』
急に笑いだした橘さんに、電話口から怪訝そうな声が返ってきた。
「千里の一世一代の晴れ舞台にあなたが人妻を口説くから。未知さんが焼きもちを妬いたじゃないですか」
『は?誰が人妻だって?口説いてねぇだろうが。おぃ橘』
「そろそろ盃直しの儀式が始まりますよ。呑めないお酒を無理して呑まないでくださいね」
一方的に電話を切ってしまった。
「式が終わってからゆっくり話しをしたらどうですか?ラブラブなところを見せ付けられたら、地竜さんも鳥飼さんも面白くないですからね」
橘さんあのね、僕が聞きたかったのはそうじゃないの。ぶんぶんと首を横に振った。
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