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番外編 きみが癒し生きる希望

「未知さん、幼稚園から電話よ」 和江さんが電話の子機を手に部屋に入ってきた。 「ちょっと地竜さん‼目付きの悪い人達が外を彷徨いていて、怖くて外に出れないって、ご近所さんから苦情が来てるんですけど」 地竜さんの顔を見るなり睨み付けた。 「そうですか。じゃあ一旦帰ります」 「一旦?」 「だって未知がいるここが俺の家でもあるし」 「は?」 顔をしかめる和江さんにニコッと笑い掛けると、ごく普通に窓に近付き、ベランダの手摺に手を置くとそのまま飛び降りた。 「しかし二階から飛び降りてよくまぁ怪我をしないわね。あっ、そうだ電話‼緊急みたいよ」 和江さんに子機を手渡された。 電話に出ると、相手は一太の担任の先生だった。 「真っ白なワンピースの女性・・・・・ですか・・・・・」 園庭で遊ぶ園児達をその女性は、フェンスの柵にしがみつき、じっと見ていたのだという。 温泉町にある小さな幼稚園。最初は観光客だと思い、然程気にも止めなかった。 でも何人かの園児が、あのね、先生。おんなのひと、ずっといちくんを見てるよ。回りにいた先生に教えてくれたみたいで。 担任の先生が急いで一太を園舎の中に入れ、園長先生が駐在所のお巡りさんを呼んでくれた。その女性は、お巡りさんの顔を見るなり、慌てて逃げ出したのだという。 「・・・・・・彩さんだ・・・・・・・」 間違いない。きっとそうだ。 子機を持つ手がブルブルと震えだした。

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