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番外編 きみが癒し生きる希望
それから一時間くらい過ぎて、惣一郎さんに手を繋いでもらい一太が幼稚園から帰ってきた。鼻を啜りながらなぜか泣いていた。
「どうしたの一太?」
「あのねママ」
そう言いながらギュッと握り締めていた手をそっと開いて見せてくれた。そこにあったのは小さな包みのキャンディーだった。
「おねえさんからもらった。しらないひとからはぜったいにものをもらっちゃだめ、パパとのやくそくやぶっちゃった。パパ、いちたのこと、きらいっていわない?」
「そんなことないよ」
「ほんと?」
「うん」前屈みになり一太の頭を撫でてあげると嬉しそうに顔を綻ばせた。
「あっ!このひとだよ!おかおがはんぶんまっかだったんだよ」
ちょうどその時テレビからニュースが流れていて、国際指名手配犯・李真珠が福島県内の温泉町で目撃され、警察庁が捜査員を派遣したと大々的に報じていた。
テレビに写った女性は顔の半分を髪で隠していたけれど間違いなく彩さんだった。
「一太くん、そのキャンディーは私が預かります」
一太はギュッと手でキャンディーを握り締め橘さんを潤んだ目で見上げた。
「毒が入っているかも知れません。ハルちゃんが間違って口にしたら大変です」
橘さんに言われ一太は指紋がつかないようにと差し出されたハンカチの中にキャンディーをそっと置いた。
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