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番外編 黒い魔の手
横になってもなかなか眠れずにいたら、枕元のスマホがブルブルと振動した。
画面を見ると知らない番号からだった。
「誰?」
「ヘンな電話?」
ちょこちょこと何度も目を覚まし、その度にくずってばかりいる子供達を寝かし付けるのに四苦八苦していた紗智さんと那和さんに声を掛けられた。
着信拒否のボタンを押し電話を切ると、すぐにまた掛かってきた。
「鳥飼、そこにいるんでしょ」
那和さんが廊下で寝ずの番で警護をしてくれている鳥飼さんに声を掛けた。
「ねぇ、鳥飼。無視しないでよ。緊急なの」
「那和、年上には敬語を使えと何度言ったら分かるんだ」
カタンと静香にドアが開いて、やれやれとため息をつきながら鳥飼さんが部屋に入ってきた。
「さっきからしつこいの。代わりに出てよ」
那和さんが鳥飼さんにスマホを渡した。
「080ー△〇×ー〇△××か……地竜の番号ではない。誰だ?」
怪訝そうに眉を寄せながら電話に出てくれた。
『タオ!(逃げろ!)』
電話口から聞こえてきたのは初めて耳にする声………ううん、うろ覚えだけど、前に一度だけ聞いたことがある声だった。
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