「良かった元気そうで」 すごく綺麗な女性《ひと》と、彼によく似た若い男性に声を掛けられた。 えっと････えっと････ ごめんなさい。思い出せない。 えへへと笑って誤魔化した。 「２番目の姉の千里よ」 「僕は遥琉の弟の心だよ」 千里さんに、心さん………？ 首を傾げながら懸命に思い出そうとしたけれど、何も思い出せなかった。 ねぇ、遥琉さん。 服の裾をツンツンと引っ張った。 「二人とも未知の味方だ。安心しろ。子供達も二人が大好きだ。そして、未知も二人が大好きだったんだ」 そうなんだ。ニコッと微笑んでぺこりと頭を下げた。すると千里さんが急に涙ぐんで、ハンカチで目元を押さえた。 「何で未知ばかりが、こんな目に合わなきゃならないの……」 「太惺も心望もおなかの子もみんな無事だったんだ」 「それはそうだけど」 千里さんが嗚咽を漏らし言葉を詰まらせた。 「マー、一緒に写真‼」 僕の子供である紗智さんと那和さんがぶんぶんと手を振り、僕を呼んでいた。マーは中国語でママを意味するって、二人に教えてもらった。 左薬指には彼とペアの結婚指輪。右手首に嵌めている腕輪が誰から贈られたものなのかいまだ思い出せない。 彼が焼きもちを妬くくらい、僕を一途に愛してくれる人。那和さんがそうヒントをくれたけど･････