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番外編 ごめんね、
「未知と一緒で、俺達も同性婚をしている。ごく普通の夫婦と何ら変わらない。千里が組長に就任してやたらとやることが多くて、なかなか来れなくて悪かった。3月までみんなで交代で未知の側にいることにしたから。遠慮なく甘えたらいい」
「ちょっと聞いてないわよ!」
「僕も!」
千里さんと心さんには寝耳に水だったみたいでびっくりしていた。
勿論彼もだ。
「ちょっと待て、みんなって?」
眉を八の字にして彼が二人に詰め寄った。
「だから、俺と笹原、あと、遼成と信孝と、鷲崎だよ。未知や子供達に付き添っていたいお前の気持ちは痛いくらい分かる。だがな、菱沼組の組長としての仕事の他に、本部の若頭として千里を補佐し、直参の組を取り纏める重要な役目があるだろう」
「未知は俺達にとって癒しで心の拠り所なんだ。可愛い妹なんだぞ。俺達みんな未知に返しきれないくらい世話になったんだ。少しくらい恩返しをさせてくれよ」
「裕貴、笹原……すまない」
彼が声を震わせ頭を下げた。
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