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番外編 ごめんね、
『あのね。遥琉さんまだ怒ってるかな?』
メモ帳に書いて橘さんに見せた。
「怒ってませんよ」
嘘だ。退院してから全然目を合わせてくれないんだよ。目が合ったとしてもすぐに逸らすし、子供達を寝かし付けたら、そそくさと部屋を出ていってしまうし。
僕が彼や子供達のこと忘れちゃったから、たから怒ってるんだ。きっとそうだ。
僕が全部悪いんだ。
「未知さん」メモ帳にそのことを書こうとしたら、橘さんに名前を呼ばれた。
「自分のことや、子供達のことを何も覚えていないことにショックは受けていました。でも……」
そこで言葉を止めると、頬を優しく撫でられた。あっ、これって………
「何も覚えていないはずなのに、遥琉や子供達の手の温もりをあなたはちゃんと覚えていました。頬をこうして撫でられて、あなたは涙を流して静かに泣いていました。一太くんやハルちゃんを無意識のうちに抱き締めてあげたでしょう」
「遥琉はね、未知を独り占めしたいんだよ。お邪魔虫さえいなければ、丸一中甘えていれるのにってボヤいてたよ。未知の顔を見たら構って欲しくて、我慢出来なくなるんだって。だから、わざと目を逸らしているんだよ。たいくんのパパは、顔は恐い癖に、あぁ見えて意外と不器用だから」
心さんが然り気無くフォローしてくれた。
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