そのあと上着を脱いでポンとベットの上に投げると、ラグマットの上に胡座をかいて腰を下ろし、ポンポンと膝を軽く叩いた。 「ここなら落ちる心配がないだろ？おいで」 にこっと優しく微笑み掛けられて。 真っ赤になりながら頷き、恥ずかしいから前を向いて膝の上に座ろうとしたら、普通は逆じゃないのか？と真顔で言われてしまった。 「耳まで真っ赤だ」 向い合わせで膝の上にちょこんと座ると苦笑いされてしまった。 だってまだ慣れてなくて、恥ずかしいんだもの。仕方ないでしょう。 「まぁ、そう睨むな。可愛い顔が台無しだ」 笑いながらスマホを手渡された。 あの、遥琉さん……？ 首を傾げると、 「大丈夫だ、電話の相手は未知の味方だ」 そう言いながらスピーカーのボタンを押した。 『良かったな無事に退院出来て。俺は鞠家だ』 初めて聞く声じゃない。 いつも聞いていた、大切な人の声だ。 『詳しくはそこにいる焼きもちやきの旦那に聞け。俺達は今上海にいる。青蛇の残党共に報復する為だ。もう二度と紗智と未知と那和に危害を加えないようにアジトに乗り込み、ボスと直談判するしか手立てはなかった。俺達はみな無事だから安心しろ』