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番外編 穏やかで愛おしい日々
あのね遥琉さん。
目が覚めたとき、なんで男なのにおなかの中に赤ちゃんがいるか不思議でならなかった。
一太と遥香と太惺と心望が、彼と僕の子供だって聞いたときも、はじめは冗談だと思って信じることが出来なかった。
男でも女でもない。両方の性を持つ僕を何でこんなにも愛してくれるの?
大切にしてくれるの?
気色悪くないの?
ねぇ遥琉さん・・・・・
「そんなに見詰めるなよ。キス、したくなるだろ?」
彼が困ったように笑うと、おでこにチュッと軽く口付けをしてくれた。
そのとき、背中にゴツゴツと何か固いものが当たった。それが彼のモノだとはじめ気が付かなくて。
「好きな子がこうして腕の中にいるんだ。勃つのは当たり前だろう?」
ごく普通にさらりと言われ、恥ずかしさから全身が朱色に染まった。
その時、ひんやりとした風が脱衣室の方から流れてきた。
あれ?ちゃんとドアを閉めなかったのかな?
そんなことを思いながら、何気に上を見上げると橘さんと目が合って。腰を抜かすくらい驚いた。
「まだ何もしていないだろう?」
「まだ、ということはこれからするつもりだったんですね」
「はぁ?な訳あるか」
「さぁ、どうだか」
腕捲りをした橘さんの腕がお尻に回ってきた。
あ、あの………橘さん‼
「未知さんの裸は見慣れてます」
慌てふためく僕とは対照的に橘さんは冷静そのもので。表情一つ変えなかった。
「しっかり掴まって下さい」
「ちょっと待て‼まだ肝心な話しがまだだ」
「このままだと逆上せてしまいます。上がってからにして下さい」
「橘、お願いだ。未知を返してくれ‼」
彼の必死の頼みも空しく、タオルでくるまれるとそのままお姫様抱っこされ脱衣室に運ばれた。
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