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番外編命をかけた彼の一途な思い

彼を起こさないようにベットから抜け出そうとしたら、逞しい腕が音もなく伸びてきて、布団の中から出るにも出れなくなってしまった。 「まだ暗いだろ?もう少し側にいてくれ」 あの遥琉さん。手をグーに握り締め広い胸をポンと軽く叩いた。 「大丈夫だよ。何かあれば連れてくる。それとも一緒に寝るのは嫌か?」 もう遥琉さんの意地悪。 ムッとして顔を覗き込むと、クスクスとからかうように笑われた。 「昨日の話し、まだだっただろう?」 包み込むように優しく抱き締められた。 広い胸や、身体に絡んだ逞しい腕。 うなじにかかる息の熱さ。 お日様みたいな柔らかな匂い……… そういえば、妊娠して匂いにも敏感になってしまった僕に何かと気を遣ってくれているのは彼だって橘さんが話してくれた。 やっぱり遥琉さんの腕のなかが一番落ち着く。彼が好きなんだって改めて思う。 「だから未知」 頬を彼の胸に寄せスリスリしていたら、狼狽えた彼の声が返ってきた。 「非常にまずい状況になるから、その………」 何をそんなに慌てているのかな? 首を傾げると、がっくりと肩を落としはぁ~と深いため息をつかれてしまった。 「わざとなのか、ただ単に鈍感なのか………だからな、昨日の、風呂………あぁ~何言ってるのか分からなくなってきた」 真っ赤になって照れてる遥琉さん。お茶無で可愛い。 こうして素の表情を見れるもの妻の特権なのかもしれない。 込み上げてくる笑いを必死で堪えた。

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