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番外編 命をかけた彼の一途な想い
あの、遥琉さん………震える手で、彼の手をぎゅっと握った。
「心配するな。さっきも言ったが鳥飼は無事だ。だからそんな顔をするな」
宥めるように頬を優しく撫でてくれた。
「ヤツも地竜と同じで未知一筋だからな。恋女房を遺して先に逝く訳がないだろう」
「鷲崎、恋女房は余計だ。未知は俺の妻だ」
「俺の妻じゃないだろ。未知はみんなの未知だ。俺にとっても七海にとっても可愛い娘みたいなもんだ。一人占めは許さん。なぁ、太惺。ママはみんなのままだよな?」
今もパパだと勘違いしてるのかな?
そんな太惺を鷲崎さんは目に入れても痛くないくらい可愛がってくれる。
七海さんが焼きもちを焼きそうで、そっちの方がちょっと心配かも。
それから3日後ーー。
仙台に帰る鷲崎さんと七海さんを見送ったあと、子供達を橘さん達に頼み、彼と一緒に福島市にある県立F医大附属病院へと向かった。鳥飼は9階東病棟に入院している。実は週に一回は見舞いに来ていたという彼に案内してもらった。
「何で姐さんを連れてきた」
個室のドアを開けるなり、鋭い声が飛んできた。
「未知がお前に謝りたい、そう言ってな」
「謝るのは俺の方だ。弾よけとして姐さんを守りきれなかったんだ。合わせる顔がない」
点滴チューブに繋がれベッドに横になっていた男性が、顔だけ窓の方に向けた。
彼が鳥飼さんなのかな?ツンツンと彼の服を引っ張った。
「あぁ。そうだ」
彼がニコッと優しく微笑んでくれた。
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