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番外編 命をかけた彼の一途な想い

「未知に紹介したい人がいるの。こっち、こっち」 腕を掴まれて真っ直ぐペンションに向かった。 「おぃ待て」彼が慌てて後ろを追い掛けてきた。 「あっ、ママだ‼」 ドアを開けると一太と遥香がニコニコの笑顔で出迎えてくれた。 「ママきたよ~~‼」 一太がソファーに腰を下ろしていた男性達に大きな声で声を掛けると、そのうちの一人の男性の腕をよいしょっと引っ張った。 あれ?どこかで彼と会ったことがある。どこだかは覚えていないけど、不思議と懐かしかった。 足を縫い止められたように動けずにいたら、男性がすぐ目の前で立ち止まった。 「腕輪を外さずに身に付けていると聞いたとき、すごく嬉しかった。きみが幸せならそれでいい。もう二度と会わないと心に決めたんだが・・・・・やはり無理だった。きみを忘れて生きるなど俺には出来ない」 彼も同じ腕輪を嵌めていた。 驚いて顔をあげると、僕をじっと見詰めてきた。気遣うような、それでいて熱の籠った瞳で。 「一太くん、ハルちゃんおやつだよ…………紗智!橘さん!」 一太と遥香を呼びに来てくれた那和さんが驚いて声を上げた。 「え?何?呼んだ?」 太惺を抱っこした紗智さんがひょっこりと顔を出した。 「嘘………」 信じられないとばかりに目を見開き片手で口を覆った。 「幽霊じゃないぞ。ちゃんと足、ついているだろう?」 あっ、この声‼ 鞠家さんだ。紗智さんの旦那様の。 凛々しくつりあがった黒い眉に、涼しげな目元が印象的な彼と同い年くらいの男性がすっと音もなく立ち上がると、紗智さんに笑顔で歩み寄った。 「ただいま紗智」 「おかえりなさい」 紗智さんの顔は涙でくしゃくしゃになっていた。

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