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番外編 命をかけた彼の一途な想い

「たく泣き虫なんだから。太惺、見ないうちに大きくなったな。紗智は俺のカミさんだ。よ~く覚えておけ」 「もぅ、たいくんにまで焼きもちを妬かないで」 鼻を啜りながら、はにかむような笑顔を笑顔を見せる紗智さん。 すごく幸せそうだ。 「愛してるよ。おいで」 恥ずかしそうに肩口に顔を埋める紗智さん。 鞠家さんは満足そうにその小さな背中をギュッと抱き締めた。 「橘、ありがとう。礼をいう」 「いえ私は何もしてませんよ」 「俺の紗智に悪い虫が付かないように睨みをきかせてくれていたんだろう」 「ですから私は何も・・・・」 眠いのか指をしゃぶりながらぐずる心望をあやしながら橘さんが姿を見せた。 「優璃」橘さんを一目見るなり、彫りの深い精悍な顔立ちの男性が嬉しそうにソファーから立ち上がった。 橘さんの所に尻尾を振りながら近付くと、鞠家さんがしたみたいに両手を大きく広げた。 それをチラッと横目で見た橘さんが恥ずかしそうに顔を逸らした。 「今じゃなくても、あとでもいいでしょう」 「えぇ~~!何で、何で」 「ですから………」 橘さん、額に汗をかき耳まで真っ赤になっていた。 「一太くん、ハルちゃん、那和、痴話喧嘩が始まる前にこっちにおいで」 あんぐりと口をあけ橘さんを見上げていた子供達を千里さんが手招きして呼んでくれた。 「なっちゃん、ちわけんかって、なぁ~に?」 「何だろうね、ボクにもわからないな」 那和さんが二人の手を握りそそくさと出て行った。

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