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番外編 命をかけた彼の一途な想い
「一太、一緒に風呂入るか?」
「うん!」
夕食のカレーを美味しそうに頬張っていた一太に遼成さんが声を掛けるとニコニコの笑顔になった。
おじちゃんじゃねぞ。遼兄貴と龍兄貴だ。
遼成さんと龍成さん、一太に一生懸命教えていたけれど、発音が難しいみたいで、結局遼さんと、龍さんに落ち着いた。
「りゅうさんも!」
「俺?」
まさか指名されるとは思ってなかったみたいで間の抜けた声が返ってきた。
「パパもゆずはらさんも、まりさんも、ディノンさんも。いちたといっしょにはいろう」
「は?」
一瞬だけ場の雰囲気が凍り付いた。
「そうじぃじがね、おとこどうし、はだかのつきあいはだいじだって。いちたね、パパとディノンさんになかなおりしてほしい」
「いや、パパたち別に喧嘩している訳じゃないんだが・・・・・」
そこで言葉を濁すとチラッと横目で地竜さんを見た。
「一太、パパの言う通りだ」
下手に答えて泣かれても困るからと、地竜さんなりに気を遣って答えたつもりだったけれど、一太にはそれが分かる訳もなく。
「みんな、いちたがきらいなの?」
下唇をこれでもかと伸ばし、泣き顔になってしまった。
「ごめんな一太」
「一緒に入ろうな」
予想していたとはいえ、本当に泣かれるとは思ってもみなかったのか大人達がわたわたしながら一太を慰めはじめた。
その様子があまりにもおかしくて橘さん達が必死で笑いを堪えていた。
彼の頑張りもあり5分も経たないうちにようやく一太に笑顔が戻った。
ご飯を残さず食べて、ちゃんとお後片づけをしてから、コテージよりかなり広い、露天風呂付きのお風呂にみんなで向かった。
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