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番外編 命をかけた彼の一途な想い

「地竜さんも行かないとまた泣かれますよ」 「それは分かってる。未知に頼みがあって……嫌ならいいが……」 なかなか椅子から立とうとしない地竜さんに心配した橘さんが声をかけた。 「包帯を外してほしい。風呂から上がったら新しいのを巻いて欲しいんだ。誤解するなよ、傷をわざと見せて同情してもらいたい訳じゃない。柚原や鞠家は力を加減するということを知らない」 僕、どうしたらいいの? 彼にちゃんと言わないとまた臍を曲げられるし。橘さんに助けを求めた。 「私が立ち合いますので、ここで包帯を交換してください」 「分かった」 地竜さんは自ら着ているシャツを脱いだ。 しなやかに鍛えられた男らしい身体が現れて、慌てて目を逸らした。 でもやっぱり気になってちらっと見ると、左右の肩口から手首に掛けて包帯でぐるぐる巻きにされてあった。 地竜さんの後ろに立ち、おっかなびっくり、包帯を外していると、 「警戒しなくても襲わない。安心しろ」 くすりと苦笑いされた。 赤黒く爛れた蚯蚓脹れのような痕が肩から手首にかけてくっきりと残っていた。 僕を助けるために火傷を負った地竜さん。 目を逸らしちゃいけない。ちゃんと見なきゃ。そう思っていても手の震えは止まらなかった。 「悪いな、変なモノ見せて。俺にとっては好きな人を守れた名誉の勲章だと思ってる」 地竜さんはガタンと椅子から立ち上がると、肌の上にシャツを羽織り、風呂も医者も嫌いなんだとため息をつきながらお風呂に向かった。

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