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番外編命をかけた彼の一途な想い

「未知ありがとう。お邪魔のようだから、そろそろ帰る」 包帯を巻き終わるとすぐに立ち上がりドアに向かって歩き出した。 「おぃ!」彼が地竜さんを呼び止めた。 「死ぬんじゃねぇぞ」 「卯月…………」 予想もしていなかったのだろう。 かなり驚いていた。 「一太、遥香、これを地竜のおじちゃんに」 彼が二人に何かを渡した。 「ディノンさん!」 「おじちゃん!」 ニコニコの笑顔で駆け寄ると、爪先立ちになり一生懸命背伸びをして、地竜さんにそれを渡した。 「これは…………」 「見て分からないか?御守りだよ。肌守りと勝守りのだ。市内で有名な神社のだ」 「何で俺に?」 地竜さんの声は震えていた。 「そりゃあ」気恥ずかしいのかゴホンとわざと咳払いすると、 「お前や鳥飼と未知を取り合う張り合いがなくなるなるのが寂しいからに決まってるだろう」 地竜さんはギュッとお守りを握り締めると、軽く頭を下げた。 「お前の帰る場所は未知がいるここだ。いつでも帰ってこい」 「卯月………すまない」 そのあと一太にディノンさんお風呂に一緒に入ろうね、また遊んでね、そう言われ目を潤ませながら、後ろ髪を引かれる想いで上海へと帰っていった。

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