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番外編 命をかけた彼の一途な想い
「酔っ払いに掴まる前に退散するか」
「うん、でも………」
そこで言葉を濁すと、僕や那和さん、それに千里さんを申し訳なさそうにチラッと横目で見た。
「新婚さんを引き留める訳ないでしょう。久し振りの夫婦水入らずだもの、楽しんできなさい。子守りはアタシや那和に任せて」
「そうだよ紗智」
千里さんと那和さんが笑顔で答えると、安心したのか紗智さんにもようやく笑顔が戻った。
でもその直後、柚原さんの何気ない一言でその笑顔が凍り付いた。
それは、
「良かったな鞠家。無駄な買い物にならなくて」
「なんのことだ?」彼が怪訝そうに聞き返すと、
「紗智をうんと気持ちよくさせたいって、アナルパールやアナルプラグ、それにアナル用のバイブとか向こうでたくさん買ってきたんだよ」
柚原さん、それ以上は禁句だからダメ!
橘さんにお仕置きされるよ。
構ってもらえなくなるよ。
「柚原さん‼」
橘さんに一喝され、しゅんとして項垂れた。
「すみません」
今にも泣き出しそうなか細い声で謝ると、
「毎日鞠家に、俺の紗智は甘えん坊で可愛いいんだ。そう惚気話ばかり聞かされて、帰ったら、優璃が寂しかったっていっぱい甘えてくれる、すごく楽しみだったのに、全然構ってくれないし、さっきもまさかの塩対応だし…………」
唇をつまみ不満を口にした。
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