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番外編 彼からの告白

「やっぱり似合うな。リクエストして良かった」 彼がにこっと微笑んだ。 「太惺、ママの浴衣姿可愛いだろう?未知、お腹苦しくないか?」 然り気無い気遣いが嬉しくて。 恥ずかしさに頬が熱くなった。 「太惺、少しだけ目を瞑ってろよ」 そう言うと、頬を撫でられ頤を掬われて、そのままそっと口付けられた。 「たいくんここにいたの」 千里さんがひょっこり姿を現した。 「パパとママのお邪魔になるなら、お兄ちゃんとお姉ちゃんのところに戻ろうね」 目で何かを彼に訴えながら、千里さんがみんながいるリビングにそそくさと戻っていった。 二人きりになり、もう一度、そっと口付けられ、 「ん………っ」 そのまま静かにギュッと抱き締められた。 「心臓の音、すごいな」 クスリと笑いながらも、 「良かった。こんなおっさんに………年だってうんと離れているのにドキドキしてくれて。ありがとう未知」 熱を帯びた目で見詰められて、恥ずかしさが一気に全身を駆け巡った。 僕の方こそありがとう遥琉さん。 思っていることをそのまま伝えればいいだけなのに、恥ずかしさのせいか上手く伝えられない。 すると彼はそれもすべてわかっていたみたいで、ふっと微笑みながらそっと頭を撫でてくれた。 「俺も年甲斐もなくドキドキしてる。変なものだな、子供を5人も作っておいて今更何を恥ずかしがっているんだが………俺は、未知が好きだ。今までもそうだったように、これからも、全力で未知を愛し、そして守り抜く」 彼の真摯な告白が涙が出るくらい嬉しかった。

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