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番外編 彼からの告白

「遥琉!」その直後、橘さんの怒鳴り声が辺りに響き渡り、青筋を立てて怒りながら部屋に入ってきた。 「はい、すみません」 ベットの上に正座し、しゅんとして首を項垂れる彼。 「すぐ目を離すとこれなんだから。貴方は」 ベットの脇に落ちていた半纏を拾い上げると、埃をばさばさと手で払ってから、肩に羽織らせてくれた。 「こんな寒い夜に暖房もつけず、未知さんに風邪をひかせるつもりですか?」 「は?お前は過保護過ぎるんだよ」 「未知さんは私の可愛い娘です。心配して何が悪いんですか。もうちょっと貴方が未知さんを大事にしてくれれば、私だってこんなこと、言いたくありませんよ」 橘さんにはどう頑張っても口では敵わない彼。 言いまくられたじたじになっていた。 「パパ、だいじょうぶ?」 ちょうどそこへ遥香と手を繋いだ一太がひょっこり姿を現した。 「たちばなさん、パパはね、ママがだいすきなんだよ。だから、ゆるしてあげて」 予想もしていなかった一太の言葉に、彼も橘さんも驚いていた。 「たちばなさん、ごめんなさい」 「謝るのは本当はパパなんですけど………まぁ、今回は一太くんに免じてパパを許してあげます」 「ありがとう」一太がペコリと頭を下げた。 「見ないうちに成長しましたね」 「当たり前だ。一太は俺の自慢の息子だ」 恥ずかしいのか顔をプイッと逸らす彼。

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