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番外編 いつか分かり会える日まで

「未知さん、一言だけでも想いは通じるものですよ」 子供達が元気に遊ぶ姿を見ながら、何を書いていいのか分からず、うんうん唸っていたら、前もって用意してくれていたのかな? 真っ白な封筒と便箋を橘さんに渡された。 ありがとう、笑顔で返すと、 「私からじゃなくて………」 くすりと笑うと後ろをチラッと振り返った。 ゴボン、恥ずかしそうに咳払いをしていたのは彼だった。 「いつか必ず分かり合える日がくる。そうだろ未知。大丈夫だ、好きなように書け」 うん、ありがとう遥琉さん。 彼に励まされて便箋を一枚、テーブルの上に広げた。 ペンを握ったまさにその時。 ポコとおなかを蹴られたような気がした。はじめは気のせいだろうと思って然程気にも止めていなかったけれど、ポコポコともう一度蹴られて、嬉しくて彼の腕をツンツンと引っ張った。 「何?どうした?」 彼の手をおなかにあてた。 ベビハル、パパに、もう一回聞かせてくれる? 「ん?」首を傾げ耳を澄ませても、恥ずかしいのかな?なかなか蹴ろうとしない。でも、 「おっ!」 彼が驚きの声を上げた。 「微かにだけど、今、蹴ったかも知れない。橘、お前も」 「私もですか?」 「当たり前だ。未知の親だろ?」 彼に言われ、恐る恐るおなかに手を置く橘さん。二人に聞いてもらいたいのか、おなかを蹴る音がさっきよりはっきりと聞こえてきた。 「まるでママに頑張れって言っているみたいだな」 「そうですね」 ゆっくりと微笑む二人。 彼の手も、橘さんの手も小刻みに震えていた。

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