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番外編 護るべき大切なひと
県内の地理に詳しい案内人が必要だろうと、惣一郎さんがお祖父ちゃんと一緒に組事務所に向かった。それから僅か一時間後。
「オヤジ大変です!」
若い衆がまた息を切らし駆け込んできた。
「今度は何だ」
もっと遊ぶの!ねんねやだ!と言わんばかりに駄々を捏ねる太惺と心望を四苦八苦しながらもやっとお昼寝させてくれた彼。
起こしたらただじゃおかねぇぞ。と目で脅し付けながら、しーと唇に人差し指を立てた。
「すみません。じゃあ、小声で。玉井が播本さんに会わせてくれと来てますが」
「何?」
思わず大きい声を出して慌てて口を閉じる彼。ちらっとベビーベットに目を向けると、
二人はすやすやとお手手を万歳して寝ていた。良かった………彼が安堵のため息をついた。
「で、玉井は?」
「下にいます」
「そうか、分かった。未知はここにいろ。動くなよ」
若い衆を連れて急いで玄関に向かった。
彼に動くなよとは言われたけど、玉井さんが心配で物影に隠れて、そぉーと様子を伺った。
「播本が………いるって聞いて……」
鞠家さんに抱き抱えられ、肩で息を継ぎながらごほごほと咳き込む玉井さん。
逮捕されるのを覚悟の上で、お祖父ちゃんに助けを求めるため、足を引き摺りやっとの想いで辿り着いたのだろう。
血が滴ったあとが地面に転々と残されていた。
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