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番外編 護るべき大切なひと
「毎年、弟の命日に誰かが墓参りをしてくれていた。それが誰か今まで分からなかった。弟は顔に似合わず甘いものが好物だったみたいで、真っ白な箱の中にはいつもアップルパイや甘いお菓子が入っていた。上京したとき伊澤に播本の店に連れていかれて、その時出されたアップルパイを見たとき、墓参りをしてくれていたのは播本だと確信した。それなのに俺は孫である君を殺そうとした。本当にすまなかった」
自分がしたことを責める玉井さん。
後悔しても仕切れないと、両手で顔を覆った。
「タマ、何があった?茂原を本当に殺したのか?タマ、黙っていないで何か言え」
声を荒げ胸倉に掴み掛かろうとした鞠家さんを彼が止めた。
「玉井が人として道に外れるような真似をする訳がないだろう」
「卯月……」
ハッとして彼を見上げる鞠家さん。
「未知や子供達を危険な目に遇わせたコイツが憎い。でも、もし俺が玉井の立場だったら………そう考えたとき、他人事《ひとごと》じゃないような気がした。それに、地竜から聞いて初めて知ったんだが、真っ先にヤツに連絡をしてくれたのが玉井だった。だから、未知や子供達が助かった」
「タマ、疑ったりして悪かった」
鞠家さんが静かに手を下ろした。
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