808 / 3593
番外編 護るべき大切なひと
「上総も、同じことを言っていた。やっぱり親子だな」
いててと腰を擦りつつお祖父ちゃんが戻ってきた。
「おぃ遥琉、お前の舎弟は何であんなに運転が荒いんだ?死ぬかと思ったぞ」
「すみません」
彼が軽く頭を下げた。
「でも逃げられる前にこうして玉井と会えたんだ。間に合って良かった」
お祖父ちゃんが玉井さんに歩み寄った。
「予想はしていたが、まさか本当に捨て身で黒竜 のアジトに乗り込むとはな。なぁ、玉井、命はたった一つしかないんだぞ。お前が死んだら誰が弟の墓参りをするんだ?誰が弔うだ?」
お祖父ちゃんの問い掛けに、玉井さんの瞼から涙が零れ落ちた。
「播本、炎竜の正体は………」
意を決し重たい口を開いた。
「ーー永山一樹だろ?」
「やっぱり知っていたんだ」
「まぁな」
ニヤリと悪戯っぽく笑うお祖父ちゃん。
「永山も遥琉に負けないくらい妬きもち妬きだからな。茂原を護るためなら人を殺すことも躊躇わない男だ。玉井、これ以上永山に深入りするのは危険だ。蜂谷が玄関の前で待っている。自首して罪を償え」
「播本………さん、俺………」
玉井さんはぎゅっ、と上唇を噛み締めた。
ともだちにシェアしよう!