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番外編 護るべき大切なひと
「永山をこの手で葬るまで自首する訳にはいかない」
おもむろに立ち上がると、ドアとは逆の窓に向かってよろよろと歩き出した。
「タマ‼」
鞠家さんが咄嗟に腕を掴んだ。
「播本さんや、未知に会えた。もう思い残すことはない。鞠家、ありがとうな」
玉井さんはその手をやんわりと払い除けた。
「ちょっと待て‼」
窓を開けて下に飛び降りようとしたまさにその時、那和さんが駆け込んで来た。
「今、茨木さんに言われたでしょう。なのに何で⁉」
「君は確か・・・・・」
首を傾げる素振りを見せる玉井さん。
「あぁ、そうだ。思い出した。真沙哉の女房か?」
「そうだよ。卯月那和だよ。あのね、ボクが言いたいのは、死ぬのは勝手だよ。止めない。でもね、彼が出所してくるまで待つことって出来ないの?彼と謝りに行くまで生きて待っててよ。頼むから」
思いの丈を込めた言葉に玉井さんの肩が小さく震えていた。
「玉井、生きろ‼」
彼とお祖父ちゃんがほぼ同時に声を上げた。
「タマ」鞠家さんがそっと肩に手を置いた。
「鞠家・・・・・俺は・・・・・人を、茂原を殺していない」
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