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番外編 護るべき大切なひと
「鈍感なのは相変わらずだな、お前は………」
窓を閉めた玉井さんが独り言を口にすると、振り向き様、すっと背伸びをして鞠家さんの後頭部にちゅっ、と触れるか触れないくらいの口づけをした。
「は?」
一瞬何が起きたかわからなかったみたいで。
「タマ~~!」
しばらく過ぎてから、ようやく状況を飲み込んだ鞠家さんが間の抜けた変な声を上げた。
「たく、お前ら、また乳繰りあっているのか?本当に仲がいいな」蜂谷さんが惣一郎さんと部屋に入ってきた。
「蜂谷、惣一郎さん、迷惑を掛けてすまなかった」
玉井さんが二人の前に歩を進めると、深々と頭を下げ、両手を差し出した。
「自首・・・・・するんだろう?俺の聞き間違いか?」
「蜂谷・・・・・」
玉井さんが驚いたように顔を上げた。
「それに子供が見ている前で手錠を掛ける訳にはいかないだろう」
面と向かって言うのが恥ずかしいのか、わざと顔を逸らした。
「俺にとってお前は護るべき大切な心友なのに、力になれなくてすまなかった。苦しんでいるとき、何も出来なくてすまなかった」
「蜂谷や鞠家が側にいてくれる。それだけでどれほど勇気付けられたか分からない」
玉井さんの視線が一太へと向けられた。
大好きな彼とじぃじの姿を探しにでも来たのだろう。
その後ろから遥香がひょっこりと顔を出すと、その愛くるしい姿に、彼や玉井さん蜂谷さん、みんな自然と笑顔が零れた。
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