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番外編 護るべき大切なひと
妻の直感か、はたまた那和さんと鞠家さんのやり取りを見て、玉井さんと鞠家さんが昔付き合っていたんじゃないかと疑いはじめた紗智さん。
子供達を間に挟み、あれから一切目を合わず、一言も会話を交わしていない。
那和さん、紗智さんって懐が広いんじゃなかったの?もしかして僕の聞き間違いだったのかな?
玉井さんは、お祖父ちゃんと惣一郎さん、それに蜂谷さんに付き添われ、最寄りの警察署に自首した。これから殺人未遂及び放火の疑いで取調べを受けることになるだろうって彼が話していた。
「鞠家、やましいことがないなら、紗智にそう言えばいいだろう?」
見るに見かねたお祖父ちゃんが二人に温かいカフェオレを運んできてくれた。
那和さんと子供達にはちょっとぬるめのミルクココア。
「いや、あ、あの……それは……」
何とも歯切れが悪い鞠家さんに、
「男なら黒か白かハッキリしろ!」
痺れを切らし声を荒げた。
「タマはかつて警視庁生活安全部保安課、通称『風俗警察』の捜査員だった。当時、高校生をはじめとする若者の間でビターチョコという合法ドラッグが爆発的な広がりをみせていた。その中身は、違法薬物の大麻とコカインだ。ある高校生が中毒死してから、警察も関心を寄せるようになり、取り締まるようになった。大元締めは九鬼総業で、高校生を駒のように使い、売りさばいていた。俺はタマとバティを組んでその捜査にあたっていたが、なかなか証拠が掴めず、タマは危険を承知の上で組織に潜入したーー」
鞠家さんが重たい口を静かに開いた。
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