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番外編 護るべき大切なひと

またまた飛び出した爆弾発言に一瞬、みんな固まってしまった。 ちょうど柚原さんも帰ってきて、鞠家が押し倒されたって?そんな訳ないだろう。 玉井もなかなかやるな~~。見直した! みたいな話しで盛り上がりはじめた。 子供達は意味が分からなくても、大人たちの会話に興味津々で。 慌てて二人を寝室に連れていった。 「そろそろ、寝る時間だから」 「えぇ~~!まだねたくない」 「パパとあそぶ」 頬っぺたをこれでもかと膨らませ駄々を捏ねる二人を何とか宥めて、パジャマに着替えさせて絵本を読み聞かせながら寝かし付けていたら、 「マー」 カタン、ドアが少しだけ開いて。 紗智さんが顔だけひょっこりと出した。 その目は赤く腫れ上がっていた。 「どうしたの?」 布団から這い出て紗智さんに駆け寄った。 「俺も交ぜて」 「鞠家さんは?」 「会いたくない。話したくない。声も聞きたくない」 お手手をバンザイして熟睡する太惺と心望がいるベビーベットの脇に移動するとそこにちょっこんと座り込んで、はぁ~~と肩で深いため息をついた。 「ねぇ、マー。俺、愛されてるのかな?」 寂しそうにぽつりと呟いて、泣き出した。 男なのにね、みっともないよね? そう言いながら顔を手で覆い泣きじゃくっていた紗智さん。 背中を擦り、大丈夫だよ、鞠家さんに限ってそんなことないから。宥めていたら、泣き疲れたのかそのまま眠ってしまった。

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