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番外編 護るべき大切なひと

彩さんの公判前手続きの日。 朝イチで蜂谷さんから、黒竜(ヘイノン)のアジトで見付かった遺体の身元が判明したと、連絡があった。 中国名「朱 虎鯨 (シュ フージン)」 炎竜のボディーガード兼影武者の一人みたいで、指紋を照合したところ、驚愕の事実が判明した。 「まさかな」 連絡を受けた彼もお祖父ちゃんも鞠家さんも驚いていた。 「未知、茂原は生きている。でも………」 彼の表情がみるみるうちに曇っていった。 「殺されたのは………樋山だった。玉井への嫌疑がますます濃厚になった」 「そんな………だって、玉井さん、樋山さんの顔自体知らなかったんでしょう?」 「前科三犯。調べる気があれば調べられる」 前で腕を組み鞠家さんが厳しい表情を浮かべていた。 ちょうどそのとき、ブルブルとスマホが震動して。彼が電話に出ると、橘さんからだった。 「弁護を引き受けてくれるって?それなら鬼に金棒だ。玉井も安心する」 彼がメモに、橘さんがこっちに向かっていると書いてくれた。 「あ?離婚調停?そんなの必要ない」 「遥琉、代わってくれ」 鞠家さんに頼まれてスマホを渡すと、聞かれてまずいことでもあるのか、そそくさとテラスに移動した。

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