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番外編 爸爸(バーバ)ありがとう

「那和、茨木さんと一緒に東京に行け。月2回だけだが、真沙哉と面会が出来る。今月はまだ誰も行っていない。月が変われば更に2回。合計で4回、真沙哉に会うことが出来る。親父と心と裕貴には俺から話してある。それに千里にも」 「へ?」 まさに寝耳に水だったのだろう。那和さんは、しばらくぽか~~んとしていた。 「きみの父親として本音を言うと、真沙哉以外の、出来れば同世代でカタギの男のもとに嫁に行って欲しかった。だって苦労をするのが目に見えているだろ?那和、悪いな。苦労を掛けてすまない。これからも真沙哉を頼む」 「オヤジ、頭をあげて」 軽く頭を下げられ、那和さん面食らっていた。 「ボクは行かない。ううん、行けないよ。だって、紗智もいないんだよ。黒竜に襲われたらどうすんの?」 なおも言い渋る那和さんに、 「俺より頼りになる橘がいる。安心して行ってこい」 彼が悪戯っぽい笑みを浮かべそう返した。 「もしかして、聞いてたの?」 「聞こえてきただけだ。まぁ、当たっているから、言われても仕方ないがな。那和、少しだが持っていけ。これで心や千里と旨いものを食べて、ショッピングを楽しんでこい。真沙哉への差し入れには色々と条件があるらしいから裕貴に聞いてから、何を差し入れするか決めたらいい」 小さなお守りの鈴がついた真新しい財布を那和さんに手渡した。 「オヤジ…………ううん、爸爸(バーバ)だ。谢谢(シェシェ)」 ※爸爸(バーバ) は中国語で父さんの意味です ※谢谢(シェシェ) は中国語でありがとうの意味です

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