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番外編 バーバありがとう

「紗智、何着てく?」 「那和は?着ていく服ある?」 「言われてみればスエットしかないかも」 「俺も」 夕食もそこそこに、いそいそと出掛ける準備を始めた2人。久し振りの遠出に子供のようにキャキャとはしゃいでいた。 「優璃、もういいか?甘えても?」 「もう少し待ってください」 「えぇ」 つれない橘さんに柚原さん、しょんぼりしていた。 「お利口さんして、ちゃんと待てが出来たら、あとでたくさん、いい子、いい子してあげますから」 「本当か?」 「二言はありませんよ」 「よっしゃ!やった!」 ガッツポーズして喜びを爆発させる柚原さん。 なんだかんだといって橘さんと柚原さんは仲がいい。お似合いの夫婦だ。 「紗智さん、那和さん、これをどうぞ」 橘さんが部屋の隅に置いてあった四つの紙袋を持ってきて2人に二つずつ手渡した。 「橘さん?」「何?」 「明日着ていく服です。選んだのは私と千里と心さんですが、お金を出したのは遥琉です。一生心に残る思い出を2人に作ってやりたいと、まさに親心ですね」 紙袋を覗いていた紗智さんの顔がなぜか真っ赤になっていった。 「紗智さん、下着のセレクトは千里がしたんです。スケスケの女性モノを選ぶとは予想外でしたが…………マンネリ、倦怠期打破には普段とは違う大胆な下着で迫るのが一番と、すみませんね」 「ううん、大丈夫。こういうの着せられたことある、女の格好、慣れてる」 「紗智さん」 橘さんが珍しく声を荒げた。

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