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番外編 バーバありがとう
「昔のことは忘れて、鞠家さんにうんと愛してもらう。可愛がってもらう、でしょう?」
「指切りげんまん、兄貴と約束した」
「それを忘れないでいれば大丈夫です。すぐに仲直り出来ます」
「そぅ、セッ…………ーーー痛っ!!!!」
「ゆ、ず、は、ら、さん。少し、黙ってて頂けませんか?ご褒美なしにしますよ」
「それだけは勘弁してくれ」
話に割り込んできた柚原さんの足を容赦なく踵で踏みつけ、ビシッと叱る橘さん。
やっぱり最強だ。
「遠足に行く前日って、楽しみでなかなか寝れないものだ。一太もそうだった。だからといってあまり夜更かしするなよ。一太、遥香今日だけままたんの部屋で寝るぞ」
彼が気を遣ってくれて。
二人を連れて隣の部屋・・・・・橘さんと柚原さんの部屋に移動した。
『は?聞いてないぞ』
『さっきも言いました』
ようやく二人きりになれると、鼻唄を口ずさみながら上機嫌で橘さんの手を引っ張って部屋に向かった柚原さん。
言い争う声が漏れ聞こえてきた。
ごめんなさい。
久し振りのそれこそ貴重な夫婦水入らずだったのに。
「マー、気にしないの」
「喧嘩するほど仲がいい。バーバよく言ってる」
熟睡する太惺と心望の寝顔を覗き込んでいた二人が心配して声を掛けてくれた。
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