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番外編 バーバありがとう

「ねぇ那和、たいくんとここちゃんの髪って柔らかくて甘い匂いがするよね」 「うん。頬っぺも、ほら、ぷにゅぷにゅ」 紗智さんが二人の髪を優しく撫でてくれて、那和さんが指先でそぉーと頬をツンツンすると、二人して同時にビクっと体を震わせた。 「さすが双子。おんなじ。かわゆい‼」 愛くるしい仕草に紗智さんも那和さんもメロメロになっていた。 「マー、前から一度聞きたかったんだけど。バーバとどうやって知り合ったの?」 「俺も聞きたい」 「へ?」 二人共、興味津々。 目が輝いていた。 「あ、あの・・・・」 紗智さん、那和さん、火事以前のこと、何も思い出せないの。 ごめんなさい。 彼や子供たちと過ごしてきた大切な記憶なのに。何一つ思い出すことが出来ないの。 悔しくて悔しくて。スボンをぎゅっ、と握り締め、上唇を噛み締めた。 そのとき、ドンとドアを一回だけ叩かれた。 その音ではっとする2人。みるみるうちに顔から血の気が引いていった。 「ごめんねマー。自分たちのことしか考えてなかった」 「マーのキモチ、分かってなかった。ゴメン」 はしゃぎすきたと、2人とも反省していた。 「二人を引き会わせたのは一太と橘だ」 この声の主は鞠家さんだ。 「未知、一太や橘や千里や心。それに茨木さん。まわりにいるみんなに聞いたらいいんだよ。妹を誰よりも大事にする那奈や裕貴もいる。遠慮することはない。どんどん聞いたらいい。少しは思い出すきっかけになると思うよ。でも、遥琉にだけは聞くなよ。教える代わりに何を要求されるか分からないからな」 「鞠家さん、ありがとう」 ドアに向かって言葉を返した。

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