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番外編 バーバありがとう

「産まれた赤ん坊をどっちが先に抱っこするか、それを賭けてもう一回手合わせをするらしい」 ジャンバーを手にした彼が背後からぬっと姿を現したものだから驚いた。 「悪いな驚かせて。一太、ジャンバーを着ないと風邪ひくぞ」 彼が一太に着せてくれた。 「二人とも負けず嫌いで、頑固だからな。困ったものだ」 「でも遥琉さん」 「ん⁉」 「この子はみんなに愛されて幸せ者だよ。それに一太も遥香も、太惺も心望も」 「そうだな」 お腹を擦ると、彼も一緒に撫でてくれた。 「千里と那奈がな、この子の名前を色々と考えてくれているみたいだ。俺も考えたんだが、橘にそんな古くさい名前は駄目だと、速攻で却下された。だから、千里と那奈に任せてもいいか?」 「うん」こくりと頷いた。 「何で枕が必要なんだ」 「だって・・・・・」 「俺よりその枕が大事なのか?」 二階から鞠家さんと紗智さんの声が聞こえてきた。 「朝っぱらから随分と賑やかな夫婦だな」 彼がやれやれとため息をついていた。

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