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番外編 いちたとハルちゃんの、ママの記憶を取り戻せ‼大作戦‼

『ちょっと親父!』 『儂だけ除け者なんて、酷いじゃないか』 『順番通りに撮すから待っててってさっき言ったよ』 『あ?聞いてねぇぞ。一太、ハルちゃん、じぃじだぞ。二人とも見てるか?』 カメラに向かって手を振るのはもしかしてお義父さん? さっきまでとうって変わって機嫌よく笑っていた。 『家の中を案内しよう。何か思い出すかも知れないからな』 お義父さんがカメラと共に移動をはじめた。客間に台所、離れを順番に回り、玄関から外に出ると、建物や庭を撮すように撮影担当の若い衆に指示した。 「オヤジ‼」外で忙しく動き回っていた男たちが手を止め、一斉に腰を九の字に曲げて挨拶をした。 『ここにいる連中はみな龍一家の構成員だ。全員未知さんの味方だ。面構え、覚えておくといい』 中庭から建物に戻ると縁側によいしょっと腰を下ろした。 『未知さんや、ここはお前さんの家だ。遥琉と喧嘩して、嫌気が差したらいつでも戻ってこい』 凍て空を見上げながら、ゆっくりと言葉を続けた。 『その時にゆっくりと昔の話しを聞かせてやる』 ちょうどそこで動画が止まった。 「余計な事を喋らないように釘をさしておかないとな」 彼の声がして振り返ると、広くて温かな胸の中にすっぽりと抱き締められていた。 「余計な事?」 「いゃあ、何でもない。独り言だ」 知られちゃまずいことでもあるのかな?顔を見上げると、 「ある訳ないだろう」 顔を真っ赤にしわざとらしく咳払いをしていた。 「そんなことよりも、何か思い出したか?」 ううん、首を横に振った。 「そっか。次は千里の番だ。何か思い出せればいいな」 「うん」 一太ごめんね。一生懸命頑張ってくれたのに。ママ、何も思い出すことが出来なかった。

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