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番外編 いちたとハルちゃんの、ママの記憶を取り戻せ‼大作戦‼
『未知元気してる?』
ちょっと派手めの着物に身を包んだ千里さんが画面に写っていた。
『ここが昇龍会の本部よ。未知に会いたがってる連中がたっくさんいるから、片っ端から紹介するわよ。心の準備はO.K.?』
今日も相変わらずテンションが高い。いつもの千里さんだ。なんか安心する。
色々と大人の事情があって、幹線道路に面した5階建てのオフィスビルの最上階に組事務所を引っ越したのよ、千里さんがそう言いながら扉を開けると、黒服の男達が一列に並んで出迎えてくれた。
『未知に質問。アタシのダーリンはだれ~~だ?一太、ダメよ、ママに教えちゃ。あと、遥琉もよ』
そう急に聞かれても困る。
彼をチラッと見上げると、
「教えてやりたいのはやまやまなんだが、千里も橘と同じでおっかないからな」
彼も困っていた。
こうなったら自力でなんとするしかない。
目を皿のようにして動画に写る男性達の顔を覗き込んだ。
あれ…………?
この人、僕知ってる。
この人もだ。
「どうした未知?」
「この二人とどこかで会った記憶があるの」
一人はお祖父ちゃんくらいの年齢の男性。優しそうな眼差しが印象的で、顔の輪郭が裕貴さんに酷似していた。照れ笑いしながら髪を掻く仕草に見覚えがあった。
もう一人は彼くらいの年齢の男性。
真っ直ぐに見据える力強くて意志が強そうな眼差しに見覚えがあった。
「未知…………」
二人を指差したら、彼、目を丸くして驚いていた。
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