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番外編 いちたとハルちゃんの、ママの記憶を取り戻せ‼大作戦‼

『もしかしてイチャついていた?』 「へ?まだそんなイチャついてないかいません」 痛いところをつかれて、思わず声色をを強めたらくすくすと笑われてしまった。 『ほんと、ラブラブよね~~ご馳走さま』 「せ、千里さん‼」 顔から火が出るくらい恥ずかしかった。 「ママ!ママ!」 一太と遥香が興奮しながら部屋に駆け込んできた。 「どうしたの二人とも?」 「ママにおきゃくさん。はやく、はやく」 一太と遥香に服をツンツンと引っ張られた。 「ちょっと待ってて。太惺と心望を抱っこするから」 「二人は私がみてますよ」 二人の背後から橘さんが現れた。 「あの……お客さんって?」 彼に会いに来たお客さんの間違いじゃないかな? 僕に会うためにわざわざこんなところまで来る人なんていない。 「会ってきたらどうですか?遥琉が焼きもちを妬いて暴走する前に」 橘さんがクスリと意味深な笑いを浮かべた。 彼が焼きもちを妬くっていったら、地竜さんか鳥飼さんしかいない。 太惺と心望のお世話を橘さんに頼み、首を傾げながら、子供達に手を引っ張られ下に向かった。 「一太、遥香、ママの手をあまり強く引っ張るなよ。階段を踏み外したりしたら大変だ」 彼がすっ飛んできた。 「たく、相変わらず過保護なんだから」 やれやれと苦笑いしながらすらりと背の高い男性がリビングからゆっくりと出てきた。 「………うそ…………」 にわかには信じられなくて。 ガタガタと震える両手で口元を覆った。 さっきまで動画の中に写っていた彼が、何でここにいるの? 夢でも見てるのかな?

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