840 / 3637

番外編 遥琉さん、ありがとう

「バーバから聞いた?」 「何を?」 「やっぱりいい」 紗智さんが首を横に振った。 僕には言いにくいことなのかな? それとも彼なりに気を遣ってあえて僕には言わず、紗智にだけに伝えたのかな? 「教えてもらってもいいかな?無理にとは言わないけど。それにね、大丈夫だよ。ちょっとやそっとのことでは驚かないから」 補足すれば多分、だけど。 「そう、じゃあ」 紗智さんがぽつりぽつりと話しはじめた。 「リーが生きてる、噂が真しやかに流れてる。リーを崇拝する僕(しもべ)、勢力を盛り返す機会を虎視眈々と狙っている。地竜(ディノン)も命を狙われ、身動きが取れないって・・・・また、はじまるのかな、無益な争い・・・・・」 紗智さんの肩が微かに震えていた。 「やっと幸せ掴んだのに・・・・高行さんやマーやバーバとやっと巡り会えたのに・・ ・・・・なんで、そっとして置いてくれないのかな。悔しい」 首を捻って後ろを見ると、背中に顔を埋め紗智さんが声も立てずに静かに泣いていた。

ともだちにシェアしよう!