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番外編 幸せの色
あれ⁉
笑っている顔が誰かに似ている事にふと気付いた。
「どうした?」
「僕、この人には会った事がない。それは確か。でも、誰かに似てるの。名前がカタカナで・・・・えっと・・・・頭にカが付いたような・・・・」
何とか思い出そうと頭を巡らせた。
「未知、それ以上は思い出す必要はない」
度会さんが驚いたように一瞬目を見開き声を上げた。
「度会さん?何で?」
「何でって、それは・・・・」
気まずそうに言葉を濁し顔を歪めた。
「度会さん、あなたが思うほど未知さんはそんなに柔じゃないですよ」
背後から橘さんの声が聞こえてきて。
びくっとして振り返ると橘さんが立っていたから驚いた。
両手で目を擦り眠くてぐずる太惺を背中におんぶし、体を揺すりながらあやしていた。
「カレンですよ。未知さん。遥琉の元愛人です。本名は水盛倫也。共謀罪と傷害致死罪で服役中です。もう一度彼の身辺を調べる必要がありますね」
「橘さん、あの・・・・・・やっぱり、遥琉さんが男女問わずモテモテだったって本当だったんですね」
「未知さんと出会う、ずっと前の話しです。因果応報という言葉もあるくらいですから、彼らが今どこで何をしているのか、徹底的に洗いざらい調べさせます。知らないうちに逆恨みされ、それを黒竜にうまい具合に利用されているとも限りませんしね」
「遥琉や千里には儂から伝えておく」
「お願いします」
「じゃあ俺は、まず玉井に会ってくる。それから水盛の関係者を片っ端から洗い出す」
「蜂谷さんもすみませんね。巻き込んでしまって」
「気にしていない」
蜂谷さんは背凭れに掛けてあったコートを羽織ると、部屋から飛び出していった。
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