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番外編 姐さんの弾よけは俺だ!

「茂原を助けてくれ。炎竜は、紫竜の手の上で踊らせられているだけだ。茂原になら炎竜の目を覚ますことが出来る」 潜伏先として国内の地名が幾つか上げられていた。 亡くなった朱さんは紫竜さんがどこからか連れてきて地竜さんに将来有望だから面倒をみてくれと預けた。今思えば監視させるためだったんだろう。仲間ですら信用しない紫竜のやりそうなことだ。そうも書いてあった。 橘さんがすぐに彼と千里さんに連絡をしてくれて。今後どうするかは昇龍会組長である千里さんの判断に委ねられることになった。 「あんたとは、頭が冴えている朝一番で話をしたかったんだ。儂も年だからな。アッハッハッ」 早朝事務所を訪ねてきた客にこう言って気をよくさせる度会さん。 頼まれる側であっても威張ることは一切しなかった。 だから同業者からもカタギの旦那衆からも人望があり、早朝から来客が絶えなかった。 ただでさえ忙しい彼に代わって、度会さんや弓削さんら幹部の皆さんが組を守ってくれている。感謝してもしきれない。 「すみません、お待たせして」 「いや、大丈夫です」 「熱いので気を付けてください」 お客さんの前に淹れたてのコーヒーが入ったカップをそっと静かに置いた。 僕に出来ることといったらお茶出しくらいしかないから。少しでも手伝えることを精一杯やろう、そう決めた。 「あれ?見ない顔だね」 何気に男性と目があった。 「新入り?」 「いえ違います」 首を横に振った。 「あっ、ごめん。てっきり男だと……」 ふっくらとしたお腹を見て急に慌てはじめた。

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