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番外編 姐さんの弾よけは俺だ!
月曜日、祝日だけど出産でお世話になるながはらレディースクリニックが午前中のみ診察を受け付けていると聞いて、お土産を持って南先生と永原先生会いに出掛けた。
「あら?珍しいわね。今日はご主人一緒じゃないのね」
僕が記憶喪失だということはあらかじめ上澤先生から聞いていたみたいで、自己紹介からはじまり、クリニックの中を案内してくれた。
「色々父から聞いていたから、心配していたのよ。良かった元気そうで」
「南先生、ご心配をお掛けしてすみませんでした」
ペコリと頭を下げた。
「いいのよ気にしていないから」
南先生って細かいことはあまり気にしないのかな?そういえば竹を割ったような性格だって橘さんが言っていた。
「守秘義務があるのよ、それ分かってる?」
「えぇ」
涼しい顔をして橘さんがにこやかに答えた。
「たくしょうがないわね」
はぁ~と一つため息をつく南先生。
橘さんが相手だと、彼と同じでどうも調子が狂うみたいだった。
「4か月前よ、都内にある、知り合いが勤務している総合病院に駆け込み出産した妊婦が、医療費未払いのまま次の日の朝には新生児と共に忽然と姿を消したのは。その妊婦の名前が安井カオル。あなたが探している女性に間違いないと思う。これがその総合病院の連絡先。知り合いには橘という弁護士から電話があるからって言ってあるわ。何か手掛かりが見付かるといいわね」
橘さんにメモを渡した。
「おっきくなったね」
紗智さんと橘さんの腕の中で機嫌よく笑う心望と太惺を覗き込む南先生。
自然とにっこりニコニコの笑顔になった。
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