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番外編 頑な心をほぐすのは

「こんなときにアレなんだが、朝から何も食べていないんだ。橘、悪いが何か食べさせてくれないか?近くにあるスーパーで食材は適当に買ってきてある」 「腹が減っては戦の準備も出来ませんよね。分かりました。紫さんが作ってくれたアップルパイもありますし、少し待っててください」 太惺を背中におんぶしたまま台所に向かうと、冷蔵庫を開けて中を覗き込んだ。 その格好で組事務所で普通に仕事をしていると柚原さんから聞いた鷲崎さん、遥琉よりパパらしいなと苦笑いしていた。 「一太くんはこれを運んでください」 「はぁ~~い‼」 「ハルちゃんはお箸さんをみんなに渡してください」 「はぁ~~い‼」 鷲崎さん、護衛の為幹部の皆さんや若衆を何人か連れてきていた。 何食べたい?と聞かれ、一太と遥香、それに紗智さんはカレーと即答した。小さい声でハンバーグカレーもいいなぁ・・・・・とボソッと呟かれて、一斉に七海さんに視線が向けられた。 俺⁉ううん、俺じゃないよ。慌てて首を横に振ると、チラッと隣にいる鷲崎さんの方を見た。 「甘口で頼む」 「顔のわりには食べるものはお子様なんですね」 「一言余計なんだよ。しゃないだろ、辛いもの苦手なんだから」 恥ずかしいのか顔を真っ赤にしてぷいと顔を逸らした。 そんな訳で20人分のカレーとハンバーグを作ることになった。それよりも多い人数分を毎日3食作ってきた橘さんにとっては手慣れたもので、子供達に手伝ってもらいながら手際よく料理をはじめ、太惺と心望の離乳食も残った食材を上手く利用しあっという間に完成させた。さすがだ。

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