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番外編 頑なな心をとかすのは

『卯月の女房が心配しているぞ、そう茂原に伝えた。炎竜の心変わりを責めるより、潔く身を引いた方がまだましだと言ってな、出頭することを決めたみたいだ 』 伊澤さんからの返信に心が苦しくなった。茂原さんと永山さん、きっと分かり合えるそう思っていたのに。 何も出来ない自分が悔しくて、スマホをぎゅっと両手で握り締めた。 報道規制が敷かれているのかどのテレビ局も発砲事件の事を一切報道しなかった。 大方、政治的な圧力が掛けられたんだろう、鷲崎さんがそんなことを橘さんと柚原さんと話していた。 こんな厳しい状況なのに明日無事に週刊誌が発売されるのか気掛かりだった。 夜遅くに度会さんから橘さんのスマホに連絡があった。 『ヤクザは必要悪じゃねぇぞ。たく、どいつもこいつも目の敵にしやがって』恨み節を口にしながら、駅の売店やコンビ二で日付が変わると同時に週刊誌が発売されることを教えてくれた。 『実はな齊藤って記者、サツの幹部のバカ息子らに姉を拉致されレイプされた過去を持っているんだ。サツは事件そのものを隠蔽しようとしたが、曲がったことが大っ嫌いな播本は大人しく黙ってはいなかった。まぁ、詳しいことは割愛するがな。あとはマスコミが大騒ぎしてくれることを祈るしかない』 彼からいつ連絡があってもすぐに電話に出れるようにスマホを握り締め、あどけない寝顔ですやすやと眠る子供たちの顔を眺めていたらブルブルとスマホが振動した。

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