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番外編 頑なな心をとかすのは
「未知、朝めしを食べたら二本松に向かうぞ。いつでも出掛けられるようにしておけ」
キリリと表情を引き締め、肩に背広を担ぎ、鷲崎さんがリビングを出ていった。
つい五分前まで、太惺や心望のオムツを交換したり、ご飯を食べさせたりと慣れない育児に四苦八苦しながらも、七海さんと一緒なのが嬉しいのか楽しそうに笑っていた。
でも速報が流れて。テレビの画面をじろりと鋭い目付きで睨み付けた。
「ねぇママ、せんりおねえちゃん、テレビのなかにいたよ」
「え?そうなの?ごめんね、ママ全然気が付かなかった」
出掛ける寸前まで部屋の掃除をしていたから、一太に言われて初めて知った。
若衆に掃除は俺達がしますから、マジで大丈夫っす。そう言われたけれど、みんなの邪魔にならないで手伝える事といったら掃除機をかけることくらいしかないから。
掃除機の音が嫌いな太惺と心望は、ままたんとぱぱたんの背中に抱っこ紐でおんぶしてもらい・・・・柚原さんは滅多におんぶしないから、慣れなくてはじめかなり四苦八苦していたけど、橘さんに、あなたがびくびく怖がっていたらたいくんだって不安になるんですよ。そうビシッと言われてからは慣れないなりにも懸命に太惺をあやしてくれた。
だから太惺も心望も二人して機嫌よくにこにこと笑っていた。
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