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番外編 頑な心をほぐすのは
「あの橘さん、一太と遥香から千里さんがテレビに写っていたと聞いたんですが……」
「私も見てないんですよ。でも、惣一郎さんが途中からですけれど、気が付いて録画してくれたみたいで、ペンションに着いたらみんなで見ましょう」
「俺も最後の方しか見ていないが、押し寄せたマスコミに対して、着物姿でぴんと背筋を伸ばし、前を真っ直ぐ見据えて堂々と受け答えをしていた。相変わらず肝っ玉が座っている。さすがだ」
鷲崎さんも七海さんも、これで本部に対する忠誠心が強くなり、結束力が更に強固なものになるだろうと話してくれた。
箝口令が敷かれて誰も報道しなかった仙台市内で起きた発砲事件に関しても、なんの罪もない幼い二人の子供に向かって、ニタニタと笑いながら警察官とおぼしき男性と炎竜が銃を向けている様子を隠し撮りした動画がSNS上に投稿され大騒ぎになっていると鷲崎さんが教えてくれた。
それともう一つ。
「兄弟の絆はそう簡単に切れるものじゃない。遥琉は俺の兄貴だ。一生兄貴に付いていく、そう決めたんだ」
鷲崎組がもし解散に追い込まれても、菱沼組で面倒をみるからいつでも来い、遠慮するな、そう彼に言われ男泣きしたことを。
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