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番外編 2人の母

寒々とした森を抜けてやがてペンションの駐車場が見えてきた。和江さんと惣一郎さんが笑顔で手を振ってくれていた。 二人の回りには黒服の男達がピタリと張り付いていた。 「うちの若衆だ。何かあってからでは遅いから、土曜の夜から警備にあたらせていた」 土曜の夜っていったら、僕達が家に帰った日だ。 「鷲崎さん、2人を守ってくれてありがとう」 「鳥飼にも言われただろう。礼はいらない」 恥ずかしいのかそっぽをむいてしまった。 2人の前で停車し、ドアが開くなり和江さんが中に入ってきて、ギュっ、と両手で抱き締められた。 「良かった無事で………鷲崎さんと一緒にいるから大丈夫だって分かっていたけれど、心配で心配で………夜も眠れなかったのよ」 和江さんの目からは大粒の涙が溢れていた。 「ごめんなさい、心配を掛けて」 「ごめんなさいは私の方よ。息子もね、何も出来なくてすまないって謝っていたわ」 「そんなことないのに。僕達を匿っていることが警察にバレたら蜂谷さんだって間違いなく処分されるんでしょう」 「未知さん達を匿ったのは私達よ。息子は預かり知らぬこと。それでいい。未知さん達を守るのが世話になった播本さんへの恩返しだから、気にしないで」 ズズっと鼻を啜りながら、子供たちにおかえりなさい、おじちゃんもおばあちゃんも寂しかったよ。優しく声を描けながら頭を撫でてくれた。 千里に惚れ直すぞ、興奮覚めやらぬ惣一郎さんに早く早くと急かされ、みんなでペンションに急いで移動した。

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