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番外編 二人の母
パパとなおさんに美味しいものを食べさせてあげたいと一太と遥香に頼まれた和江さん。二つ返事で引き受けてくれた。
二人も張り切って厨房に入り和江さんのお手伝いをはじめた。
でも、夕方に飛び込んできたニュースを見て愕然となった。
嘘………でしょう………
信じられないとはかりに口を両手で覆い、膝から崩れるようにしてその場に倒れ込んだ。
すぐに気付いた紗智さんが駆け寄ってくれて肩を支えてくれた。
「マー大丈夫?」
うん、大丈夫。そう答えたものの、体が震え、足に力が入らなくて。立ち上がることすら出来なかった。
「橘さん、マーが大変なの。早く来て‼」
紗智さんが大きな声を上げると、
「未知、大丈夫?」
「 未知さん大丈夫ですか?」
七海さんと橘さんがすぐに駆け付けてくれた。
「橘さん、どうしよう・・・・・」
落ち着いて冷静にならなきゃいけないのは頭では分かっていても、混乱してそこまで考える余裕がなかった。
「彼の乗った車が後ろから追突されて・・・・・えっと、その・・・・・」
頭が真っ白になってしまいそのあとの言葉が続かない。
「未知、遥琉は無事だ」
鷲崎さんがドタバタと駆け込んできた。その後ろから太惺と心望が笑顔でハイハイしながら追い掛けてきた。
鷲崎さんはそのまま物陰に隠れると、しーと人差し指を唇にあてた。
どうやら二人と隠れん坊をして遊んでいるみたいだった。
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