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番外編 恋う(おもう)
「上から目線が気にくわない。はなっから犯人扱いだ」
眉をしかめ鷲崎さんたちが戻ってきた。
「何故、手前の杉田駅で下車したんですか?」
橘さんが目を吊り上げ彼に詰め寄った。
「無人駅だし目立たないだろうと思ったんだよ」
「観光客の多い二本松駅で下車した方がまだ目立たなかったはずですよ。さっきタクシーでここに着いたカップルについてしつこいくらい根掘り葉掘り聞かれました。お客さんだと言い張っても、なかなか信じてもらえませんでした」
「だから悪かって」
橘さんに怒られてしゅんと項垂れると、
「パパいいこ、いいこ」
一太が彼の頭を撫でてくれた。
「ありがとうな、パパ嬉しいよ」
ムギューと一太に抱き付いた。
「貴方という人は・・・・・」
これ以上小言を口喧しく言っても糠に釘。橘さん、やれやれと溜め息をついていた。
黄さんが鳥飼さんに何を言ったのか、それが分かったのは翌日のことだった。
無事だった地竜さんからカメレオンさんの安否確認と、至急の用件で電話が掛かってきた。
中国語の読み方が難しくて、一度聞いただけではなかなか覚えられなくて。カメレオンさんって呼ぶことにした。
いまだ一度も会ったことがないけれど。
黄さんは地竜さんとろくに会話もせず、無表情のままブチっと一方的に電話を切るとスマホをポケットに捩じ込んだ。
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