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番外編 恋う(おもう)

「ねぇ黄」 那和さんが中国語で話し掛けた。 別に怒っている訳じゃないけど、話し方が早口なせいか、知らない人から見たら喧嘩しているようにしか見えない。 鳥飼さんもどうしていいか分からず戸惑っていた。 「那和さん」 終わる頃を見計らって、おっかなびっくり声を掛けてみた。 「まずはバーバにちゃんと説明する。次にマーにちゃんと謝る。黄に約束させた。鳥飼がマーのことしか見ないから、焼きもちを妬いたみたいだよ」 鳥飼さんに聞こえるようにわざと大きな声を出す那和さん。 「こんなオッサンの・・・・・」 「年は関係ねぇぞ。相手が男だろうが女だろうが関係ねぇ。顔も見た目も国も関係ねぇ。惚れた相手を命懸けで守るのが男ってもんだろう」 鷲崎さんか話しに割って入ってきた。 「てめぇが未知を好きなのは分かる。でもな鳥飼」 怒られていると勘違いした黄さんが、鷲崎さんの胸ぐらに掴み掛かろうとした。無表情だから尚更恐い。 でも鷲崎さんは全く動じなかった。 「那和、こいつに伝えてくれ。本気で鳥飼に惚れているんだなって」 眉ひとつ動かさず鷲崎さんを睨み付けていた黄さんが首の後ろを擦ると視線をプイと逸らした。 「ねぇ遥琉さん」 恐る恐る部屋を覗き込むと、パソコンの前で、眉を八の字に曲げ腕を前で組み何やら考え事をしていた。 部屋から外に出ないように、橘さんと鷲崎さんの言いつけをちゃんと守り、子供たちと遊んだりして大人しくしていた。

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