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番外編 恋う(おもう)

「たく、喧嘩を売っているとしか思えない」 「遥琉さん……?」 「地竜のヤツ、全文中国語でメールを送って来やがった」 パソコンの画面を覗き込もうとしたら、 「あっ、ちょと待て‼」 慌ててパタンと閉じた。 「エロ動画見ててもマー怒んないよ」 「マ―優しいから」 部屋に入ってきた紗智さんと那和さんが顔を見合わせくすくすと笑っていた。 「てか何でお前たちまでいるんだ」 「バーバが呼んでるって、柚原に言われたんだけど。ねぇ紗智」 「うん」 「あ?」 眉間にどんどん皺が寄っていった。 「怒ると良くないよ。用がないなら帰るけど」 「いや待て。待ってくれ。すまないが、これを訳して欲しい」 A4サイズの用紙にプリントアウトしたものを二人に差し出した。 「じゃさぁ、パソコンの画面見せてよ」 那和さんに交換条件を出され、渋々ながらも画面を見せてくれた。 「何だエロ動画じゃないんだ」 「当たり前だ‼バーバは、マーのを毎日見ているんだ。そんなのいちいち見る必要ない」 ちょっと遥琉さん‼ 顔から火が出るくらい恥ずかしい事をさらりと言われ、身の置き場に困ってしまった。もう~やだ。穴があったら入りたい…… 赤面し俯くと、 「マーとバーバ本当に仲がいい。俺の憧れ」 紗智さんの手が頬に触れてきて。どきっとして顔を上げると、にっこりと優しく微笑(わら)う紗智さんと目が合った。彼はというと、ちょっとだけ焼きもちを妬いていた。 ー子供より覚醒剤とセック○に溺れた馬鹿な女 ー自業自得 ー笑える((´∀`))ケラケラ SNS上でカオルさんを名指し誹謗中傷していた。あることないこと面白おかしく書きこんで盛り上がっていた。 「出来たら未知には見せたくなかった」 遥琉さん、僕そんなに柔じゃないよ。 子供たちも、おなかの子もパパの優しさ、一番良く分かっている。 だから大丈夫。気遣ってくれてありがとう。

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