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番外編心望の初節句

「あっ、パパだ‼」 洗面所から戻ってきた遥香が窓の外を指差した。 「ハルちゃん、パパににてるけどちがうよ」 「え?そうなの?」 目をパチパチして二度三度見していた。 「確かにパパに似てるな。でも、一太の言う通り違う人だ。卯月は首筋に蛇の刺青など彫ってないからな」 彼に似てる人っていったらカメレオンさんしかいない。 身を乗り出して窓の外を眺めた。 遥香が彼と間違うのも無理はない。 怖いくらいソックリだった。 「△○◇×△‼」 大声で怒鳴り散らしながら、鳥飼さんの胸ぐらに掴み掛かろうとした男性を黄さんが慌てて止めに入った。 「○◇×△×◇!!」 男性は黄さんをジロリと睨み付けた。 喧嘩は駄目。やめさせないと・・・・・。 外に出ようとしたら、那和さんと紗智さんに止められた。 「二人の説明によると、明・清時代。契兄弟と呼ばれる義兄弟の関係を結ぶ習慣があったそうだ。年上が契兄、年下が契弟と呼ばれ社会的に認められた公然の関係だった。まぁ日本でいう念者の契りと同じだ。黒竜(ヘイノン)にはどうやらその習慣があったようだ。紫竜(ズーノン)がバイセクシャルらしい。未知がカメレオンと呼んでいる男と黄は契兄弟だったみたいだ。たく、揉め事は余所でしろって言っても聞く耳さえ持ちやしない。困ったものだ」 柚原さんがやれやれとため息をつきながら戻ってきた。

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